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アブラナ科植物の自家不和合性の分子認識機構

東北大学大学院生命科学研究科・植物生殖遺伝分野
渡辺正夫教授
 2008年10月9日(木曜)14:10~大学院セミナー室にて、生命情報工学科主催の講演会が行われました。
 東北大学大学院生命科学研究科・植物生殖遺伝機構の渡辺正夫教授に「アブラナ科植物の自家不和合性の分子認識機構」という演題で講演していただきました。

 多くの被子植物は雄しべと雌しべが一つの花の中にあるため、自身の花粉で受粉・受精する確率が高く、種内の遺伝的多様性が減少する危険性があります。
 この自家受粉・受精をさけるために、被子植物は様々な生殖システムを構築しており、その1つに自家不和合性があります。
 この現象は、100年以前のダーウィンの時代から知られていますが、実際どうやって見分けているのでしょうか?
 ちなみに、ねずみはにおいで近親交配を防いでいるそうです。

 私たちがひとつだと思っている雌しべは、顕微鏡で見ると、ひとつではなく、イソギンチャクに見えるくらいたくさんの雌しべが集まっていました。
 このひとつひとつに花粉が受粉したとき、他者の花粉であることが認識されると、細胞壁に沿って花粉管が伸長していくそうです。
 これを自家不和合性といいます。
 アブラナ科と、バラ・ナス科においては、自家不和合性の識別反応がSと名付けられた遺伝子座の部分で制御されることが知られていました。渡辺博士らの仕事により、S遺伝子座がコードしている SPK(S recepter kinase)とSLG(S locus glycoprotein)という遺伝子産物が関係しており、 SPKが柱頭側S因子であり、SLGは補助因子として機能していることが分かったそうです。

 この時期、美味しく食べているりんごも自家不和合性を持っているそうです。
 今回の講演を聞いていると、自家受粉しないということは他家受粉であるため、『いろいろな品種が混じってしまいそう!』と心配になりますが、私たちが食べているのは子房と呼ばれる部分で、品種は変わらないそうです。
 種だけが、雑種になるそうです。
 講演後は盛んな質疑応答がありました。
 自家不和合性が進むと、最終的に1種類になった時に消滅するのではないかという質問がありましたが、1種類しかなくなった場合は、自家受精ができるようになるそうです。
 うまく出来てるんだなぁと感心しました。

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