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「ゲノム情報を利用した適応進化メカニズムの解明とその応用」 10月17日開催

講師:九州工業大学 若手研究者フロンティア研究アカデミー准教授

花田耕介先生

日時:2012年10月17日 14:40~

場所:新棟7階大学院講義室

内容:多細胞生物のモデル生物では、ゲノム、トランスクリプトームおよびプロテオームなど様々な分子レベルでの網羅的解析データ(オミックスデー タ)が次々と蓄積されている。しかし、分子情報から形態や形質等の表現型情報への橋渡しをする研究は、個別に行う研究が一般的であり、概念的 なモデル開発が進んでいない。理由としては、表現型情報の深い生物学的知識が必須になるためである。植物のモデル生物であるシロイヌナズナで は、約4000遺伝子を欠損させた際のゲノムレベルでの表現型情報(フェノーム)をトレーニングデータとして横断的に使用できるという点で、 多細胞生物では最も解析を進めやすい生物の一つといえる。これらのデータを利用して、重複遺伝子による表現型が時系列に変化する過程を明らか にする研究(進化研究)を精力的に行ってきた。重複遺伝子では、既存の機能を一方のコピー遺伝子で維持したまま、もう一方の遺伝子に塩基置換 が蓄積することが許容できるため、新規機能を獲得する確率が高まる。そこで、フェノーム情報を駆使して、重複遺伝子が植物の進化の過程でどの ような表現型に関係してきたかを推測するモデルを構築している。さらに、既知遺伝子と表現型の情報を飛躍的に増加させるために、世界の300 地域以上で自生しているシロイヌナズナの野生株のSNP情報を用いて、2次代謝産物、植物ホルモン、植物体の大きさに関係する遺伝子群をゲノ ム関連解析によって同定する研究を様々な研究者と共同して進めている。

一方で、現在知られている遺伝子のみで解析を行う際には、未同定の遺伝子がどの程度存在するかという根本的な問題が常に存在する。特に、現在 の遺伝子予想プログラムでは短い遺伝子を同定するのは困難だと考えられているため、短い遺伝子を同定する方法の開発が要求されている背景が あった。そこで、比較ゲノム、トランスクリプトームおよびプロテオームのデータを利用し、短い遺伝子を予測する方法の開発を行い、その方法を 用いてシロイヌナズナゲノムに新規遺伝子を探索し、約7,000個の100アミノ残基以内の短い新規遺伝子の候補領域を同定している。現在 は、この方法によって同定された新規遺伝子の機能予測の実験を推進している。そのため、短い遺伝子の機能予測の現状についても簡単に報告する。

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